研究紹介

研究紹介


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植物遺伝育種学研究室(朝倉研究室)

グミ科植物のシーベリーHippophae rhamnoides L.はユーラシア大陸に分布する雌雄異種の落葉底木果樹です。Bartish ら(2002)により、Hippophae属植物は7種に分類されていて、H. rhamnoidesはさらに8亜種に分類されています。シーベリーは防風や土壌保全の目的で利用される一方、豊富な栄養素を含む健康食品として注目されています。

シーベリーは二倍体(2n = 24)の雌雄異株植物であり、風媒により種子を着けます。現在のところ、雌雄を決定する遺伝的機構の詳細は不明ですが、播種から開花まで3から4年の期間を要するために、形態的に雌雄を識別する方法では長期間、雌雄の判別ができません。そこで、雌雄判別に資するDNAマーカーの開発について研究しています。また、同時に、遺伝的多様性の理解を目的としました種々のDNAレベルでの解析を行っています。

環境分析化学研究室(井川研究室)

環境動態の解明とその改善にも関わる膜科学を研究テーマとしています。

(1)
降水の化学組成の支配因子とその環境影響について、丹沢と横浜で大気汚染の観測を行っています。霧は山岳部で頻繁に発生しますが,空気中に浮かぶ液滴量が極めて少ないため,この中の大気汚染物質濃度は高くpHは低くなります。そこで主なる汚染源を明らかにするとともに、丹沢のブナやモミの立ち枯れへの影響を研究しています。

(2)
新しい機能を持つ膜システムの開発について、溶液系における溶質の分離、回収を様々な膜システム内で実現することを目的として研究しています。原相中のある溶質のみが膜に高分配し、膜内で濃度勾配に従って拡散し、受相側界面での分配平衡により溶質を放出し、このプロセスを通して選択的な透過が起こります。膜内の微細孔で働くイオン交換反応、錯生成反応、疎水性相互作用などが、分離に利用されます。

ソフトマテリアル物性研究室(池原研究室)

「微小空間における相転移と構造形成、およびその応用」情報通信、医療、バイオ等の分野などにおいて、ハードマテリアルを代替するあるいは超える高機能・高付加価値材料としてソフトマテリアルが期待されています。複数の成分の性質を併せ持ち、新たな物質を作製せずに物質の持つ性能を制御可能なポリマーブレンド、ポリマーアロイ、共重合体などの利用や、様々な機能性ネットワーク高分子に関する研究も盛んです。我々は生分解性高分子や結晶成分を含む高分子複合材料において、構造形成過程、結晶化ダイナミクス、相挙動などの解析を行い、構造と物性の相関の研究をしています。例えば固体表面にグラフトされた高分子鎖における構造形成や、一方の成分の球晶が他方の成分の球晶内を連続的に成長する「相互侵入球晶」の解析などの研究を通じて、高分子材料設計の新たな指針を提案することを目指しています。また、得られた基礎的研究成果を基に新たな応用分野を開拓することも行っており、現在は新たなプロトン伝導膜を開発しています。

反応機構解析研究室(岩倉研究室)

「光で“みる”分子の動きと化学反応の世界 〜物理学の最先端技術で化学する〜」

(1)
今までは“みる”ことのできなかった反応中の分子の一瞬一瞬の動きを、分子内で原子が振動する周期よりも閃光時間が短いレーザーパルス光を用いて、ストロボによる連続写真を撮るように計測し、「どの結合が切れ、いつ結合ができるのか」、遷移状態を含む反応過程を観測しています。

(2)
分光分析測定と理論計算による反応シミュレーションを組み合わせて、発光材料の光機能性や発光機構を解析しています。得られた結果に基づき、より高性能な発光材料開発を試みています。

(3)
高強度で極めて閃光時間が短い特殊なレーザーパルス光は、従来の熱反応とも光反応とも異なる化合物の活性化状態をつくります。その状態を利用することで、全く新しい化合物の合成や今まででは考えられなかった新反応の開発を行っています。

触媒物質化学研究室(上田研究室)

酸化の触媒反応は、化学資源から有用な化学品を合成する場合や、化学資源を効率的にエネルギーに変換する上で極めて重要です。これは、炭素資源を作り出した光合成と全く逆の反応で、人工的に広範に行えるためです。これは酸化の本質であり、発展と広がりは留まる所を知らない。現在では化学物質の酸化の効率をかなり高度なレベルにまで高めることが,資源・エネルギーの効率利用の高まりと関連して強く求められています。酸化を精緻に制御する上で従来を超えた高度な触媒材料設計と合成方法論が必要です。研究室では酸化物触媒の高次構造化の合成化学を体系的に進め,高機能触媒の開発を行っています。

有機反応デザイン研究室(岡本研究室)

遷移金属の特異な反応性を利用し、そのメリットを最大限に生かしながら、遷移金属利用によるデメリットを伴わないファインケミカズ生産プロセスとしての方法論の確立を目標に研究を行っております。それゆえ、埋蔵量が多く毒性の低い第4周期金属を中心に、触媒や当量反応剤の開発を行っています。可能になった分子変換法を利用して、新しい薬剤候補化合物の合成や活性評価について、また、新しい重合法の開発やユニークな光学的あるいは電気的な特性を有する全く新規な高分子材料の創成を行っています。

遺伝子有機化学研究室(小野研究室)

「DNA構造を利用する機能化学空間の設計と構築」

(1)
金属含有DNAワイヤーの合成、構造、物性DNAのもつ精巧な自己組織化能を利用し、新規機能化学空間を構築することを目的とします。
DNAを利用する金属イオン集積構造の構築:天然DNAに含まれるワトソン・クリック型塩基対を、金属イオンを介した塩基対に変換することにより、金属イオンが一次元に規則正しく配列された一次元錯体を合成する研究が注目されている。上記で開発された金属イオン結合性化学空間を利用して、DNA構造に沿って金属イオンが規則正しく配列された新規金属イオン集積体を構築します。

(2)
金属イオンセンサーの開発。

(3)
核酸医薬の開発を目的とする修飾オリゴヌクレオチドの合成。

分子機能化学研究室(亀山研究室)

「ポリマーミセルの合成とその機能」

触媒機能を持った疎水性の高分子と親水性の高分子が1箇所で結合した構造の高分子、両親媒性ブロックコポリマーを精密に合成し、その自己組織化により触媒機能をコア(内部)に有する微粒子を作ります。必要な時だけこれに熱などの刺激を与えると、触媒機能が発現するユニークな触媒として利用できます。

「ポリマーフィルム中の転位反応を利用した屈折率変化材料」

熱的に化学構造が変化(転位)する機能団を側鎖に有するポリマーを合成し、そのフィルム状態で転位を引起こすと屈折率が約0.01大きくなります。屈折率が変化するポリマーは光通信のための素材(デバイス)としての応用が検討されています。化学反応で屈折率が小さくなる材料は多数報告されていますが、屈折率が大きくなる材料は例が少なく、貴重な光デバイスとしての利用が期待されます。この他に、光反応で屈折率が大きくなる材料の研究も行っています。

有機無機ハイブリッド構造研究室(小出研究室)

アルミホイルや航空機のボディ、ジュラルミンなど、私たちの生活にさまざまな形で取り入れられているアルミニウムに、酸素や窒素、または他の金属などを混ぜた新しい複合材料を生み出す研究をしています。例えば、アルミニウムと酸素が結合すると、アルミナと呼ばれる硬くて丈夫な酸化物ができます。しかしこれは非常に硬いため、加工し難いという欠点もあるため、アルミナを液体にしてコーティング材として利用できるようにする手法を考えるなど、新しい素材を作り、その物理的な性質を変えて実用化に結びつける研究です。また金属を有機物で結合した配位ポリマーと呼ばれる結晶や、有機エレクトロルミネッセンスに使われる金属含有有機発光物質の開発、光触媒反応の研究なども行っています。

機能性セラミックス研究室(本橋研究室)

環境・エネルギー応用のための機能性セラミックス開発を行っています。近年、環境破壊・エネルギー枯渇が世界的な大問題となっており、これらを打開する切り札として革新的な機能性材料の創製が期待されています。当研究室では、エネルギー・工業などあらゆる分野の重要元素である酸素に着目し、酸素が関与する化学反応に対して高い活性をもつ材料を主に手がけています。特に、温度やガス雰囲気の変化に応答して顕著な酸素吸収放出を示す金属酸化物「酸素貯蔵材料」を設計・開発し、酸素ガス製造、化学原料製造、次世代電池などへの応用展開をめざしています。

バイオ活性分子化学研究室(佐藤憲一研究室)

生物活性物質の基質認識機能の解明を手がかりとする化学空間の創製と機能物質(医薬)の開発を行っています。 生物活性物質(天然物、糖鎖など)の機能発現には、これら物質が作り出す「化学空間」に対する厳密な「分子認識」が関与しています。
この厳密な化学空間を作り出している分子の高次構造を解明し、それに学び、もとの生物活性物質(天然物、糖鎖)を模倣あるいは修飾することにより、高機能の新物質(新薬)の開発を行っていきます。

(1)
生物活性サイクリトール誘導体の合成と新薬SEED物質への誘導。
(2)
分枝糖の形成する化学空間と薬理活性との相関の解明。

分枝糖誘導体の網羅的合成:分枝糖は抗生物質の多くに構成成分として存在し、その薬理活性の発現に深く関与しています。この分枝糖が形成する化学空間と薬理活性との相関を解明すべく分枝糖誘導体の網羅的合成を行います。

合成した分枝糖誘導体に対しSPR(表面プラズモン)を使ってウイルスや細菌類との相互作用の解析を行い、化学空間の理解に努めています。その結果をフィードバックし、最終的に新薬の開発を目指しています。

ナノ構造材料化学研究室(金研究室)

「分子構造の「形」とナノ構造の「貌」の設計及び「形+貌」由来の機能材料の創出」
特殊構造を有する有機・高分子の設計と合成、それらの分子の自己組織化による超分子形成、その超分子構造体を反応場とする時空間構造が制御された酸化物・半導体ナノ構造体の設計などに基づく光機能、不斉機能、触媒機能、エネルギー変換機能、濡れ・弾き機能を有するナノに特化した材料開発を行います。
分子設計においては、環状構造のサイズと形状の制御、ポリオキサゾリン・ポリエチレンイミン骨格の特殊構造制御を中心に、それらの分子が発現する自己組織化能力と分子複合体形成について詳細検討し、それらが示す「形」と機能を化学します。
分子及び超分子が示す「形」をひとつの足場・鋳型にし、その周辺でのミネラリゼーションを時空間レベルで制御し、「形」から「貌」が転写された複雑階層を有する酸化物ナノ構造体を設計します。
複雑階層構造のナノ構造体に、発光体、光アンテナ、赤外線吸収サイト、キラル幾何学壁面、金属ナノ粒子等を付与し、特異的機能を有するナノ材料及びナノ表面薄膜の開発を行います。

バイオミメティック錯体機能研究室(引地研究室)

「配位空間の精密制御と新規化学空間への導入」

酸化酵素に倣って金属錯体の配位空間を精密設計し、触媒特性を最大限に引き出した錯体触媒を開発します。その触媒を無機酸化物や有機ポリマー、タンパク質からなる三次元化学空間と複合化し、“人工酵素”を開発します。

(1)
三脚型窒素三座配位子における立体および電子的特性の制御と反応特性の相関解明。
金属配位空間と触媒特性の相関を解明することを目的として、様々な置換基を持つTpRを用いて酸素分子やヒドロペルオキシド(過酸化物)に対する活性化能を示す錯体の設計・合成および外部基質に対する酸素添加活性の検討を行っています。

(2)
人工酵素への展開。
非対称型キレート配位子を無機酸化物や有機ポリマーなどの担体と連結した、“固定化錯体触媒”を開発します。なお担体については、反応場雰囲気(親水性や疎水性)の制御や、空間制御特性に優れた三次元規則性多孔体の適用について検討します。

エレクトロニクス材料研究室(松本研究室)

現在、ノート型パソコン、携帯電話等のモバイル用電源として用いられているリチウムイオン二次電池や燃料電池を大型化し、ハイブリッド自動車や電気自動車用電源に使用しようとする研究が世界各地で盛んに行われています。そのためにはさらに軽くて、長い時間使える、充電時間が短い電池が必要です。さらに、今後広く人々に使ってもらうようになるには、安価な材料で、安全な電池の開発が重要になります。当研究室では化学の立場からナノテクノロジー、分子軌道計算、化合物合成、分析装置などの方法を使って高性能次世代の新型電池の研究に取り組んでいます。

分子アーキテクチャー研究室(横澤研究室)

「連鎖縮合重合による縮合系高分子や π 共役系高分子の合成とそれらを含むアーキテクチャーの自己組織化」

生物が作る高分子は酵素の働きによってモノマーが高分子の末端だけに反応し、単一分子として合成されています。その仕組みは大変複雑で全く同じことを人工的に行うことは出来ません。しかし有機化学の基本原理を応用してモノマーや触媒をうまく設計することにより、生体内のようにモノマーが高分子の末端だけを認識しながら進行する新しい重合反応 (連鎖縮合重合)を当研究室では開発しました。
連鎖縮合重合はモノマーとポリマー末端の置換基効果の変化や成長末端への選択的な触媒移動によってモノマー同士の反応 (自己縮合) が抑制されるため、ポリマーの一次構造 (分子量や分子量分布) を制御できます。この重合法を活用して、これまで合成できなかった一次構造の制御された新規な π 共役系高分子やポリマーアーキテクチャーの合成を行います。また、それらの自己組織化や機能についても検討します。




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